2017年5月16日火曜日

ARCHIVE : Exhibition " World() " HEIRAKUJI Masashi

World() - installation version for Cognitive Map -





concept

規則に沿って、同一空間内を固有の運動をする点。この点が一定数増加したときに起こる混乱と、ぼんやりと見えてくる像を、音で認識させ、また同時に、普段意識していない環境音を再認識することで、仮想と現実、非・場所性と場所性の中間を作り出す.


overview

私たちは多くの環境音の中で生活しているが、その音を意識的に聴取する機会は少ない. あえて周囲の音へ意識を向けるとき、果たしてその耳に聞こえる音は現実の音であろうか.

電子音、または録音された音が、そのまま、または、リアルタイムに編集され、空間内に配置される、そして、周囲からも音が聞こえてくる、遠くで聞こえる交差点の喧騒、船の汽笛、通りを歩くハイヒールがアスファルトを叩く音.


普段意識していない音による、物理的空間内、または場所性の認識を問う.
また、今回のイスンタレーションの展示では、発音の制御のためにプログラム World() を使用した。







World()


展示で複数のスピーカーから出る音を制御しているプログラム World() は、元々ライブパフォーマンスのために作られた. 実際に、今回の展示最終日に開催したライブパフォーマンスでは、World()を使用して映像と音を制御している.




World()を作る発端は、
ツイッターは個々人が文字制限のルールのなかで無秩序に、即時的に(反射的に)ツイートをする. けれど、なぜかツイッター全体を見ると、いくつかの群れの動きがあるように見える. この感覚(人々の個々のツイートとは別に群れの動きが感じられる)は、人々の言葉がネット上で見えるようになったことで明示的になった現代的な特徴なのではないか.
という、もはや、日常風景の一部と化したツイッターのタイムラインから得た感覚を表現しようという試みからである.

そして、
(ツイッター上の現象を抽象化してプログラミングによって制御するために)自分自身が発音を管理できない環境下で発せられる音の集合を、音楽として成立させるにはどのような方法があるだろうか.
という表現に関する課題が生まれた.
その一つの解として、その環境に適した音声ファイルを選ぶ、ということ.

自動生成される点の運動から、音声ファイルへのトリガーを発生させる際のパラメータや、点の運動の数値を利用して生成する映像など、World()は、現在においても進行中のプロジェクトであり、試行錯誤の中で、コンセプトに関して、またはプログラムに関して、またはコンピュータ音楽、サウンドアートに関して、各段階で課題を見つけ、その課題に対する解を提示し、また、修正、改変を繰り返し続けている.



*上記記載において影響を受けた参考資料として、ツイッターに関する考察については、東浩紀「一般意志2.0」、タイトルとなるWorld()自体への考察については、ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン「論理哲学論考」、発音を制御できない場合の音楽作成の考察については、安藤洋子「Reacting Space For Dividual Behavior」など.





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